貸切バス事業許可更新時に提出する「安全投資計画」「事業収支見積書」とは?

行政書士の阪本です。

さて、平成29年4月1日より貸切バス事業許可の更新制が導入されます。

この制度では許可の有効期限内に申請をするのを失念してしまうと、許可は自動的に失効してしまいます。

ですので、有効期限後も貸切バス事業を行う際には、忘れずに更新許可申請手続きを行わなければなりません。

更新手続きの必要書類

更新許可申請時には、以下の書類を提出することになります。

  1. 更新許可申請書
  2. 安全投資計画
  3. 事業収支見積書

更新許可申請書は、会社名や代表者名などを記載した鑑(かがみ)と呼ばれるものと、事業計画を記載した書類で構成されております。

事業計画には、

  • 営業区域
  • 主たる営業所の名称と位置
  • 営業所の名称と位置
  • 営業所ごとに配置する貸切バスの台数とその明細
  • 加入している任意保険の賠償額(対人と対物)
  • 車庫の位置、収容能力、使用権限

を記載する必要があります。

更新許可申請書には、「安全投資計画」と「事業収支見積書」を添付する必要があります。

安全投資計画は、貸切バス事業者さんが、輸送の安全を確保するために、向こう5年間に行う投資の内容を定めた計画のことです。

具体的には、次のような計画内容を記載することになります。

  • 適切な単価を前提とした適切な運行管理体制(運転手、運行管理者、整備管理者の配置)に関する計画
  • 車両の新規取得、代替や整備に関する計画
  • ドラレコやパソコンの導入、セーフティバスマーク認定申請などの安全の確保のために必要な事項の計画

事業収支見積書は、安全投資計画に則って貸切バス事業を遂行することについて十分な経理的基礎が有することを証明するための予算書です。

安全投資計画と事業収支見積書の審査基準

貸切バス事業者さんが提出された「安全投資計画」「事業収支見積書」は次の基準で、審査が行われます。

安全投資計画 事業収支見積書
運転者、運行管理者、整備管理者について 法令上求められている人数の確保計画があること 法令上に求められている人件費が計上されていること
車両の新規取得・代替及び整備について 最低保有車両数以上の車両の確保計画があること 保有車両及び新規取得車両について、以下の額が計上されていること
・車両減価償却費:事業者さんの車両減価償却年数によっり算出した額
・車両修繕費:車齢、走行距離などに応じた予防整備費(※)
その他の安全確保のために必要な事項について ・ドライブレコーダーの導入計画があること
・セーフティバスマークの認定申請を予定している場合は、その計画が記載されていること
・初任運転者、高齢運転者へ適正診断の受診計画があること
・健康診断の受診計画があること
左記の安全投資計画を実施するための所要の費用が計上されていること

※国土交通省は、予防整備費についてのガイドラインを作成し、今後公表を予定しています。

                        出典:国土交通省のホームページより

貸切バス事業の許可が更新されない場合

「安全投資計画」「事業収支見積書」は、国土交通省での審査の結果、以下の場合に該当する場合は、貸切バス事業許可の更新はできません。

  • 人件費、車両修繕費等について、所要の単価を下回る単価に基づく収支(見積・実績)となっている場合
  • 収入に貸切バス事業以外の収入を含んでいても、計画上、5年間連続で収支を赤字としている場合
  • 更新申請直近1事業年度において貸切バス事業者の財務状況が債務超過であり、かつ、申請直近3事業年度の収支が連続で赤字である場合

また、上記の「安全投資計画」「事業収支見積書」の審査基準に適合している場合でも、下記のどれかに該当する貸切バス事業者さんは、許可の更新をすることができません。

  • 法令試験の正答率が90%未満の場合(貸切バス事業者安全性評価認定制度において、一つ星以上を取得している事業者は法令試験は免除されます)
  • 前回許可時から更新申請時までの間に、毎年連続して、行政処分を受けている場合
  • 前回許可時から更新申請時までの間に行政処分を受けた場合であって、更新許可申請時までに認定事業者による運輸安全マネジメント評価を受けていない場合

法令試験の再試験は1度だけ認められておりますが、更新許可基準を満たすためのハードルは非常に高いと言えます。

「安全投資計画」と「事業収支見積書」は実態に則ったものを作成する必要があり、とりあえず計画だけ立案をして許可更新を受けるといった、その場しのぎのものを提出すると、後々、事業が立ち行かなくなる可能性が高いと思われます。

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行政書士 阪本 浩毅

トラバス理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光専門の行政書士として、数多くのトラック運送会社の許認可に関与してきた経験を持つ。 現在も行政書士法人シグマの代表として、運輸と観光の許認可の専門家として活動している。