一般社団法人運輸安全総研トラバス

働きやすい職場認証(運転者職場環境良好度認証)の取得支援

自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度とは

トラック・貸切バスなどの自動車運送事業に従事するドライバー不足が年々深刻化しております。ドライバーの労働条件・労働環境を改善し、事業継続に必要なドライバーの確保・育成が社会的な課題となっています。

ドライバーの労働条件や労働環境を改善するとともに、必要となる運転者を確保・育成するために、長時間労働の是正等の働き方改革に取り組む事業者を求職者から「見える」ように評価する制度が、「働きやすい職場認証制度」です。

「働きやすい職場認証制度」は愛称で、この認証制度の正式名称は「運転者職場環境良好度認証制度」です。

とはいえ、国土交通省の本制度開始の報道発表資料では「働きやすい職場認証制度」を使っていますので、正式名称よりも愛称の方が世間では使われることが多くなるのではないでしょうか。

働きやすい職場認証制度は、ドライバーの働き方改革を重視した「ホワイト経営」へシフトしている自動車運送事業者の取組みを状況を「見える化」するために創設された認証制度です。

本制度は、2018年6月より、国土交通省が旗振り役となった『自動車運送事業のホワイト経営の「見える化」検討会』において制度設計について議論が行われておりました。2019年6月に報告書が取り纏められ、働きやすい職場認証制度が創設されるまでに至りました。

この認証制度は、国土交通省から認証業務の受託した一般財団法人 日本海事協会が申請書類の提出先・審査窓口となります。

働きやすい職場認証制度の概要

対象事業者

  • トラック事業者(第二種貨物利用運送事業者を含む)
  • バス事業者(貸切バス事業者・乗合バス事業者の両方を含む)
  • タクシー事業者(法人)

対象にならない事業者

  • 貨物軽自動車運送事業者
  • 第一種貨物利用運送事業者
  • 法人であっても福祉限定のタクシー事業者
  • 個人タクシー事業者

昨今は、EC宅配の分野を中心に軽貨物運送事業を組織的に経営されている法人が増えてきております。とないえ、車両台数が数十台規模で組織的に貨物軽自動車運送事業者は、本認証制度の対象外のため、働きやすく職場認証制度の申請はできません。

申請資格

一定期間以上の法令遵守等の状況を踏まえて認証を行うことが適当と考えられるため、運送事業許可取得後3年以上経過していることが必要です。

とはいえ、事業許可取得後3年以上経過されていない事業者さんであっても、企業グループの再編等により事業許可取得後3年以上経過している事業者の就業規則等を承継して運送事業を行っているといった特別な事情がある場合は、認証申請資格は有しているとの取扱が行われるようです。

もし、企業再編後3年未満の事業者さんが申請を行われる際は、申請前に認証機関への確認をお願い致します。

上記以外の申請資格(申請要件)は下記のとおりです。

下記7項目の申請資格は、基準日から遡って1年間の法令違反、行政処分等を対象としています。基準日は、申請月の前月の任意の日とし、事業者さんの申告により決めることができます。

  • 労働基準関係法令違反に係る厚生労働省及び都道府県労働局の公表事案としてホームページに掲載されていないこと
  • 労働基準関係法令違反で送検されていないこと。または、送検されたが不起訴又は無罪となっていること
  • 使用者によって不当労働行為が行われたとして都道府県労働委員会又は中央労働委員会から救済命令等を受けていないこと。または、中央労働委員会による再審査又は取消訴訟により、救済命令等の取消が確定していること
  • 道路運送法、貨物自動車運送事業法等に基づく行政処分の違反点数が20点を超えていないこと
  • 認証申請の対象営業所について、トラック・タクシー事業者さんの場合は月の拘束時間、バス事業者さんの場合は4週間を平均した1週間当たりの拘束時間又は休日労働の限度違反に対する道路運送法、貨物自動車運送事業法等に基づく行政処分による累積違反点数が5点を超えていないこと
  • 認証申請の対象営業所について、社会保険等加入義務違反に対する行政処分による違反点数を受けていないこと
  • 認証申請の対象営業所について、最低賃金法違反に対する行政処分による違反点数を受けていないこと

認証業務の申込拒絶・停止

認証業務を行う日本海事協会さんは、認証申請を行った事業者さんに一定の事由があると判断した場合、認証業務の申し込みを拒絶し、又は認証業務を停止することがあります。

つまり、一定の事由があると認められてしまうと、認証申請を行っても審査が中止されてしまうのです。

  • 認証業務の申込みに際して虚偽の事項を届け出た場合
  • 日本海事協会の定める約款に違反したことがある者からの申込みである場合
  • 記入した申込内容に不足がある場合
  • 自らが暴力団、暴力団関係企業、総会屋もしくはこれに準ずる者又はその構成員(以下、「反社会的勢力」という)である場合
  • 認証申請事業者の役員(取締役、執行役、執行役員、監査役又はこれらに準ずる者)に反社会的勢力で該当する者がいる場合
  • 反社会的勢力に事故の名義を利用させ、本契約を締結するものであること
  • 自ら又は第三者を利用して、認証業務に関して、脅迫的な言動又は暴力を用いる行為をしたり、偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為をすること
  • 日本海事協会が認証するに相当でないと判断した場合

虚偽申請はもちろんですが、反社会的勢力が何かしら関係する事業者からの申請も認められないことになっています。

認証項目と参照項目

審査の対象となる取り組み(項目)には、「認証項目」と「参考項目」と2つに分類されます。

  1. 法令遵守等
  2. 労働時間・休日
  3. 心身の健康
  4. 安心・安定
  5. 多様な人材の確保・育成
  6. 自主性・先進性等

「認証項目」

合否を判断するための項目となっており、トラック・バス・タクシーのそれぞれの事業者ごとに項目が定められています。

項目数はトラック及びバスは25項目、タクシーは27項目です。

「参考項目」

「参考項目」は、一つ星の認証取得結果には関係はしませんが、事業者さんの更なる取り組みを促し、将来の二つ星・三つ星取得に向けた目安を示す観点から参考点を付与する目的て設けられました。

参考項目は21項目あります。

認証基準

認証項目の達成状況に応じて「一つ星」「二つ星」「三つ星」の3段階で認証が行われます。とはいえ「一つ星」を取得していないと「二つ星」「三つ星」には進めないことになっております。

2021年度は、昨年度に引き続き、制度の浸透を図り、基本的取組を広く徹底するため、「一つ星」限定して認証申請を行います。

対策分野 認証項目
A 法令遵守等 9項目
B 労働時間・休日 3項目
C 心身の健康 4項目
D 安心・安定 トラック8項目、バス8項目、タクシー10項目
E 多様な人材の確保・育成 1項目

こちらが各対策分野ごとの認証項目の個数になります。認証を取得するためには、認証項目の全てを満たす必要があります。

各認証項目には、項目ごとに満たす必要があるものと、グループ内の複数の小項目のうち、達成できている小項目の合計点が基準点を満たしていれば、項目(大くくり項目)として満たされるものがあります。

大くくり項目は、下記の基準点数を満たす必要があります。

対策分野 通し番号 基準点数
B 労働時間・休日 11 6点以上
C 心身の健康 16 6点以上
D 安心・安定 19 4点以上
E 多様な人材の確保・育成 27 6点以上

認証項目の解説は、申請案内書の26ページ以降に記載がありますので、そちらをご確認ください(申請案内書は日本海事協会さんのホームページからダウンロード可能です)。

※「参考項目」について

「参考項目」は一つ星の合否には影響はありませんが、将来の二つ星・三つ星取得に向けた目安を示す観点から加点方式により参考点を付与する項目となっています。

対策分野 認証項目
B 労働時間・休日 10項目
C 心身の健康 1項目
E 多様な人材の確保・育成 トラック4項目、バス4項目、タクシー3項目
F 自主性・先進性等 トラック5項目、バス4項目、タクシー3項目

参考項目の詳細についても、申請案内書をご確認ください。

認証取得までの流れ

  1. 審査申込書類の提出
  2. 審査料の振込み
  3. 審査
  4. 審査結果の連絡
  5. 登録料の振込み
  6. 登録証書の受領

2021年度の認証取得のスケジュール

申請案内書(手引き)の公開時期:2021年6月16日

申請受付期間 2021年7月21日~9月21日

認証事業者の公表 2022年2月21日(予定)

なお、2021年度に認証を取得した場合の登録証書の有効期限は、登録証書発行日から2024年3月31日までとなります。

申請の方法

2020年度も全ての事業者さんが「一つ星」の認証申請手続きとなります。

「一つ星」の認証申請を希望される事業者さんは、審査申込書類を、紙申請又は電子申請のいずれかの方法で、認証実施団体の一般社団法人日本海事協会へ提出いたします。

電子申請を選択した場合は、審査料が2万円割引されますのでお得です。

認証申請の際の提出書類

  1. 審査申込書(書式あり)
  2. 営業所一覧(書式あり)
  3. 自認書(書式あり)
  4. 認証項目で規定されている提出書類

認証項目で規定されている提出書類は次の書類です。

  1. 就業規則の写し(10人未満の事業所は労働基準監督署の受理印は不要です)
  2. 36協定の写し
  3. 労働条件通知書の写し
  4. 安全委員会、衛生委員会等の各委員会構成員一覧、又は議事次第や議事録(従業員の意見を聴くための機会を設けた場合それが確認できる書面)の写し
  5. 営業所毎に様式第6号(労働安全衛生規則第52条関係)で規定する直近1回分の定期健康診断結果報告書の写し(50人未満の事業者は提出不要です)
  6. 行政処分の違反点数を受けている事業者は、違反に対する是正措置が適切に実施(または計画)されていることが確認できる書類(事業改善報告書等)の写し

申請費用

認証取得の際は、①審査料と②登録料の2つ費用が生じます。複数営業所で認証取得の申請を行った場合は、営業所分の加算も生じます。

①-1 審査料(書面申請の場合)

申請費用 金額(税込)
審査料 55,000円
+複数の営業所を申請対象とする場合 +3,300円×営業所数(本社を除く)

①-2 審査料(電子申請の場合)

申請費用 金額(税込)
審査料 33,000円
+複数の営業所を申請対象とする場合 +3,300円×営業所数(本社を除く)

※電子申請の場合は、審査料が2万円減額されます。

②登録料(審査結果の作成・登録に関する費用)

申請費用 金額(税込)
登録料 66,000円
+複数の営業所を申請対象とする場合 +5,500円×営業所数(本社を除く)

審査方法

認証取得までの審査は、原則、書面審査の方法で行われます。

働きやすい職場認証制度では、認証取得後のチェック制度が設けられており、この認証取得後のチェックは対面審査で行われます。

対面審査は、全ての認証取得事業者さんが対象ではなく、認証団体側が一定の割合で抽出された事業者さんを対象に実施されます。

とはいえ、対面審査の際に必要となる書類は、すべての認証取得事業者さんが保管しておかなければなりません。働きやすい職場認証制度では認証取得をしたあとでも審査が行われる場合がある点に注意が必要でしょう。

認証単位

認証の単位は、事業者単位となっています。但し、複数の都道府県に事業所を有する事業者さんは、申請負担の軽減のため、申請者の選択により都道府県単位でも申請可能です。

例えば、東京都・神奈川県・千葉県の3都県に事業所がある運送事業者さんの場合、東京都と千葉県は除外して、神奈川県にあるすべての営業所のみを認証単位とすることができます。また、東京都の営業所を除いた、神奈川県・千葉県にあるすべての事業所を認証単位とすることも可能です。

有効期間

認証の有効期間は、原則2年間となっています。

トラバスの認証取得コンサルティング

一般社団法人運輸安全総研トラバスでは、東京・神奈川・千葉・埼玉に本社・営業所のあるトラック運送事業者様・貸切バス運送事業者様を対象に、働きやすい職場認証を取得し、それを維持するためのアドバイザリーサービスを提供しております。

  • 自社は認証基準を満たしているのか不安だ
  • 申請案内書を読んでも申請方法がよくわらない
  • 日常業務が多忙のため認証申請手続きをサポートしてくれる専門家を探している

認証取得を検討されている事業者さんの中にはこのようなお悩みございませんでしょうか?

認証を取得して、ドライバーの採用活動を優位に進めたいとお考えのトラック運送事業者様・貸切バス旅客運送事業者様は、ぜひ、トラバスの認証取得コンサルティングサービスをご利用ください。

コンサルティング費用

認証取得をご希望の事業者さんには、まずはじめに、簡易診断を行わせて頂きます。この簡易診断は、運送事業の労務に精通した社会保険労務士を中心にトラバス内でプロジェクトチームを作り対応いたします。簡易診断の費用は認証取得を検討されている事業所に配置しているトラック・貸切バスの台数によって変動いたします。

簡易診断の結果、認証申請サポート希望される事業者様は、認証取得のための申請手続きを進めさせて頂いております。

トラック運送事業者(一般貨物自動車運送事業)

簡易診断 29台まで 33,000円(税込・交通費別)
30台以上 55,000円~(税込・交通費別)
認証申請 29台まで 330,000円~(税込・交通費別)
30台以上 個別見積

貸切バス事業者(一般貸切旅客自動車運送事業)

簡易診断 29台まで 33,000円(税込・交通費別)
30台以上 55,000円~(税込・交通費別)
認証申請 29台まで 330,000円~(税込・交通費別)
30台以上 個別見積

コンサルティングまでの流れ

  1. お問い合わせ(メール)
  2. ご面談(対面又はオンライン)
  3. 簡易診断費用の御見積
  4. 簡易診断費用のお支払
  5. コンサルティングサービスの開始

トラバスの働きやすい職場認証取得コンサルティングサービスに関するご質問・ご依頼は、お問い合わせフォームからのメールにて承っております。

なお、認証取得コンサルティングサービス以外のご質問、例えば、申請制度に関するご質問(認証項目の解釈、提出書類の内容・書き方など)は、当法人にご質問頂いても回答いたしておりません。

これらのご質問・ご相談は認証団体の一般財団法人日本海事協会さんへ直接お問い合わせください。

トラバスの認証取得実績(一部)

認証段階 事業種別 営業所所在地 台数
一つ星 一般貨物自動車運送事業者様 東京・千葉 170
一つ星 一般貨物自動車運送事業者様 東京・群馬 100
一つ星 一般貨物自動車運送事業者様 東京・千葉 80
一つ星 一般貨物自動車運送事業者様 東京 8
一つ星 一般貨物自動車運送事業者様 東京・埼玉 20

働きやすい職場認証セミナーのご案内

2021年7月27日(火曜日)、トラック運送事業者様を対象にした働きやすい職場認証セミナーを開催いたします(主催:株式会社プロエージェント、共催:三井住友海上火災保険株式会社・一般社団法人運輸安全総研トラバス)。

7月のセミナーは、現地での受講とオンラインでの受講をお選び頂けるハイブリット形式での開催となります。

講師は、三井住友海上経営サポートセンターの冨永剛生氏と、当社団理事でもあり、川崎武蔵小杉法律事務所代表弁護士の橋本信行氏が登壇いたします。

セミナー詳細・お申込みは、下記URLをご確認ください。

働きやすい職場認証申請セミナーを開催いたします。

 

本セミナーの定員は30社とさせて頂いており、先着順で定員に達し次第受付を締め切らせて頂きます。

ご参加を希望される運送事業者様は、お早目のお申込みをお勧めいたします。

多くの運送事業者様に本認証制度をご活用頂き、ドライバーの採用・育成が円滑になることが、私どもの願いです。

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