運転中の脳疾患による事故を防止しましょう

事業用自動車の運転者が運転中に脳疾患を起こしてしまったら、大きな事故を起こして歩行者やお客様を巻き込む恐ろしい死亡事故になる可能性が高いことは容易に想像がつくかと思います。

国土交通省に報告されているものだけでも年間数十件単位で発生しています。(国土交通省 自動車局 安全政策課資料より)

死者や重傷者が出た事故のみがニュースになり、実際はニュースにならない脳疾患での事故は多数発生しているため、幸いにして「たまたま」死者や重傷者が出なかった事故にも注目しなければなりません。

例えば「時速100kmの高速道路上で脳疾患を起こして亡くなる事故」と「時速40kmの時に脳疾患を起こしてガードレールにぶつかって停車する事故」は、脳疾患を起こしたタイミングの違いだけで、潜在的な危険性は同等であると私は思います。

血管や心臓の病気も脳疾患の原因に

脳卒中は頭の中の血管が詰まる、もしくは切れることによって起こる疾患で、運転者に限らず世界的に見ても主な死因であり、さらには障害をもたらす原因でもあります。

脳梗塞は脳卒中の1つで、頭の中の血管が詰まることにより生じる疾患です。脳卒中の中には他に血管が切れることによって生じる脳出血、脳動脈瘤という「血管のこぶ」が破れて生じるくも膜下出血があります。

脳卒中は日本人の死亡原因第4位です。そのうち約6割が脳梗塞による死亡です。動脈硬化や心房細動があると血栓ができやすいため、これらの病気を持つ人は脳梗塞に注意が必要です。

また脳梗塞が発症してしまったあと、治療によって血管の詰まりを解消したとしても、脳梗塞の根本的な原因がなくなるわけではないので1年間に再発する人は5%、5年間では20%ほどもいると言われています。

動脈硬化は、中高年以上で起こりやすくなってきます。動脈硬化が進行すると、脳の血管壁にコレステロールがたまりプラークというふくらみが出来ます。このプラークが血液の通り道を狭くすることで血の塊の血栓が出来やすくなり脳の血管を塞いでしまう場合があります。

また、動脈硬化は脳の血管だけでなく首の血管にも起こり、そこに血栓ができる場合もあります。その血栓が血液の流れにのって脳の血管に運ばれてくることで脳梗塞を起こすこともあります。

心房細動とは心臓の心房の収縮が不規則になって、細かく震えるような不整脈のことを言います。こちらは60歳以降に起こりやすい病気です。心房細動になると心房の中で血液がよどむようになり血液が固まり血栓が作られます。この血栓がはがれて血流にのって脳に運ばれると脳梗塞を引き起こします。

少しずつでも生活習慣の改善を

動脈硬化と心房細動の危険因子は、高血圧、高血糖、脂質異常症、肥満の「死の四重奏」と言われるものに加えて喫煙、大量飲酒、塩分と脂肪の摂り過ぎ、運動不足、睡眠時無呼吸症候群などです。

運転をするお仕事の方は心当たりのある方、多いのではないでしょうか。不規則で拘束時間が長い大変なお仕事であることは承知しております。

  • 「なるべく揚げ物を選択しない」
  • 「なるべく野菜を摂取する」
  • 「なるべく食べすぎない」
  • 「なるべく階段を使う」

など、出来ることだけで構いませんので生活習慣を少し改善すること。

健康診断で再検査や要治療の指摘事項がある場合は放置せず必ず受診し医師の指示に従うとともに、会社に報告してください。

また、運転者が治療にあたる場合には、朝の点呼で服薬や体調、次回通院日の確認をしっかり行いどの休憩で服薬するかや通院するための休みの確認を行ってください。

令和3年6月より健康起因事故に対する行政処分が新設されました。

運転者の健康が事故を防止すること、会社を守ること、運転者ご自身の命を守ることを社内でいま一度ご確認して頂きたいと思います。

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