行政書士の阪本です。
この記事をご覧頂いている方は、運行管理者試験受験の準備を進められている方、もしくは、運行管理者補助者を目指されている方なのではないでしょうか。
今回は、そのような方々を対象に、運行管理者基礎講習についてお伝えしていきます。
基礎講習とは
トラック、貸切バスなどの運送事業で使用する自動車事故の防止のため、運行管理の実務や関係法令、安全の確保に必要な管理手法などを学ぶ運行管理者指導講習の一つです。
運行管理者指導講習は「基礎講習」「一般講習」「特別講習」の3種類があり、運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する必要な基礎知識の習得を目指す方を対象にした講習が「基礎講習」です。
この基礎講習を修了された方は、運行管理者試験の受験資格を得ることができるとともに、運行管理者の補助者に選任することができます。
講習の期間は?
基礎講習の期間は3日間、総講習時間は16時間となっており、かなりの長丁場の講習です。
講習期間中に欠席・遅刻・早退をしてしまうと講習修了とはなりませんので、講習期間中の3日間は耐えるしかありません。
講習内容は?
基礎講習の講習内容は、大きく分けると次の3項目です。
- 道路運送法、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、労働基準法及び道路交通法等の関係法令
- 運行管理の業務及び自動車事故防止に関すること
- 運転者の指導教育と適性診断に関すること
講習会の最終日には、試問(テスト)があります。テスト時間は30分弱で、穴埋めと○×の選択式の問題です。テキストを参照しながら回答することができます。
講習の予約方法は?
運行管理者基礎講習は、国土交通省が実施しているのではなく、国土交通省が認定した団体で行っています。実施団体は、自動車事故対策機構(NASVA)のような独立行政法人や、運送会社のグループ会社、教習所などです。
講習の予約方法は、実施団体によって異なっています。NASVAの基礎講習は、NASVAのホームページから申し込みをすることができます。
受講料は?
基礎講習の受講料は、8,700円(税込)です。講習に使用する分厚いテキスト2冊分の費用も含まれていますので、3日間の受講料としてはリーズナブルだと思います。
この受講料は、講習の実施団体が異なっていても同一金額です。受講料は、受講日当日に現金で支払います。
「貨物」と「旅客」の二種類あります
基礎講習には貨物自動車を対象にした「貨物」と、バス、タクシー、ハイヤーといった旅客自動車を対象にした「旅客」の二種類があります。
「貨物」の基礎講習を修了しても、「旅客」の運行管理者試験の受験資格や旅客自動車運送事業者の運行管理補助者になることはできません。その逆もしかりです。ご注意ください。
基礎講習の概要はここまでにしておいて、ここからは、私が受講した基礎講習についてお伝えしていきます。
基礎講習(旅客)レポート
私は、NASVAの「旅客」の基礎講習を受講しました。予約はNASVAのホームページから行いました。受講会場は、東京都府中市にある「ルミエール府中」というコンベンション施設です。
コンベンションホール飛鳥のAとBを2つ繋いだ会場で、今回の受講生の数は200名強とのことです。
府中駅から少し歩く会場でしたが、きれいな施設だったのと、防音性が高い会場だったため、外の音が気にならずに集中できるいい環境で受講することができました。
タイムスケジュール
3日間のタイムスケジュールは、下記のとおりです。
1日目
09:30 受付開始
10:15~12:00 講義
12:00~13:00 昼休み
13:00~16:45 講義
2日目
09:00 開場
09:30~12:00 講義
12:00~13:00 昼休み
13:00~16:30 講義
3日目
09:00 開場
09:30~10:00 試問(テスト)
10:00~10:30 試問の解説
10:30~12:00 講義
12:00~13:00 昼休み
13:00~16:00 講義・修了式
受付
受付で受講料(8,700円)を支払うと、席の番号が記載された札を渡されます。
その札の番号の席が、3日間の自分の席になります。席は受け付け順で割り振られ、3人掛けの長机に3人で座ることになります。端っこになるか、真ん中になるかは、運です。
ちなみに、私は真ん中の席でした。
席に座ると、分厚いテキストが2冊置いてあります。
講義開始
講師は基本はNASVAの職員の方が務められておりましたが、道路交通法に関しては警視庁の刑事さんが、労働基準法に関しては社会保険労務士さんが、運行管理業務は、路線・貸切バス事業者の方が講師を務められておりました。
講義の進行は、前方のスクリーンに論点が書かれたパワポが映し出された状態で、テキストと法令集を行ったり来たりしながら重要な部分を講師が解説をする流れです。
講師の方が「ここは重要です」と言ったところは、マーカーを引いた方が良いでしょう。最終日の試問で出題される可能性が高いです。
講義中は、スマホ、ノートPCの使用、居眠りは厳禁で、あまりにも講習の態度が悪いと未修了となってしまいます。欠席、早退、離席もNGです。ご注意ください。
筆記具の持参は必須です。
試問があるのでボールペンよりも鉛筆、シャープペンが良いでしょう。ラインマーカーもあった方が、重要な箇所がわかりやすくなります。
また、分厚いテキストを2冊持ち帰ることになりますので、NASVA側でビニール袋は準備して頂けますが、鞄を持って行った方がよいかもしれません。
講習50分→休憩10分というのがワンセットになっているのですが、集中力を切らさずに講習に参加するのはなかなか難しいと思います。
今回の会場は飲み物の持込が認められていました。集中力が切れそうな時(眠くなった時)は、お茶やコーヒーを飲みながら、全16時間の講習を乗り切りましょう。
休憩時間
正午になると1時間のお昼休みです。お昼は各自で準備する必要があります。ルミエール府中の周りには残念ながら飲食店がありません。私は1日目は施設内の喫茶室でランチセットを食べました。
この日のランチは、アジフライ定食でした。アイスコーヒーは、ランチには含まれていません。
2日目・3日目は、朝にコンビニに立ち寄っておにぎりを買ってそれを自席で食べました。自席で食べている方と、外に食べに行かれる方は、半々という感じでしょうか。
試問(テスト)
そして、最終日の3日目には試問(テスト)が実施されます。確認テストという感じの内容でした。
試問での出題内容は、2日目の最後に講師よりアナウンスがありました。試問中はテキストの参照ができるため、試問前に出題内容とされている場所がどこに書かれているかの当たりを付けて置いた方がよいでしょう。
講習修了
そして、3日間の講習が修了すると、修了証と手帳が交付されます。
運行管理者試験の受験を「基礎講習修了予定」の受験資格で申し込みをされている方は、基礎講習修了証書の写しを、運行管理者試験事務センターへ提出する必要があるので、お忘れなく。
基礎講習は、運行管理者試験対策の講座ではありませんので、この講習を受講したからと言って運行管理者試験に合格できるものではありません。また、基礎講習で、運行管理者の実務を全て学べるわけでもありません。
基礎講習は運行管理者のスタートラインですので、テキストを何度も読み返したり、先輩や他社の事例を研究するなどして、運行管理者の実務を身に付けていく必要があるでしょう。
まずは、3日間の講習を乗り切りましょう。
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トラバス代表理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光分野に関する専門家として、数多くのトラック運送会社、貸切バス事業者、倉庫業者の許認可法務に関与してきた経験を持つ。
現在も行政書士法人シグマの代表行政書士として、行政書士法人を経営しながら、運輸業と観光法務の実務家として活動中。
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)賛助会員(認定アドバイザー)