行政書士の阪本です。
一般貨物自動車運送事業者が、荷主より、適正な運賃・料金を収受できる環境整備のため、国土交通省では、標準貨物自動車運送約款や標準貨物軽自動車運送約款の一部改正の準備を進めています。
それに先立って、トラックドライバーの荷待ち時間、荷積み時間、荷卸し時間の実態を把握するともに、削減を図るために、乗務記録(運転日報)の記載事項を追加する貨物自動車運送事業安全規則の一部改正が行われます。
1.改正内容
トラックドライバーが、車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の貨物自動車に乗務した場合、ドライバー毎に以下の内容を乗務記録(運転日報)に記載して、1年間保存することが求められます(第8条関係)。
- 集貨・配達を行った地点
- 集貨地点・配達地点に到着した日時
- 集貨地点において、荷積みを開始した日時と終了した日時
- 配達地点において、荷卸しを開始した日時と終了した日時
また、一般貨物自動車運送事業者と荷主が協力して適正な取引環境を確保する努力をするために、荷主都合による集貨地・配達地における待機が、トラックドライバーの長時間労働・過労運転につながるおそれがあることから、輸送の安全を阻害する行為の一例と付け加えられることになります(第9条の4関係)。
2.改正のスケジュール
- 平成29年5月31日(水)公布
- 平成29年7月 1日(土)施行
今回の改正では、運転日報に記載事項が追加となる車両は、ドライバーが乗務した車両が『車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上の貨物自動車』に限定されております。
この一部改正が行われる背景は、ドラックドライバーの長時間労働の是正のために、荷待ち時間等の実態を正確に把握することですから、対象車両以外でも、可能な限り、荷待ち・荷卸しの記録を残しておいた方がよいでしょう。
と申しますのは、記録を残しておくことにより、荷待ち時間削減のために荷主へ協力を求める際の材料することができたり、国土交通省が荷待ち時間を生じさせている荷主に対して貨物自動車運送事業法に基づく荷主勧告を行う際の、判断材料にすることができるからです。
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トラバス代表理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光分野に関する専門家として、数多くのトラック運送会社、貸切バス事業者、倉庫業者の許認可法務に関与してきた経験を持つ。
現在も行政書士法人シグマの代表行政書士として、行政書士法人を経営しながら、運輸業と観光法務の実務家として活動中。
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)賛助会員(認定アドバイザー)