【対談記事】損害保険で整える「働きやすい職場環境」のポイント解説

本日はよろしくお願い致します。

よろしくお願い致します。

杉本さんには、物流インシュアランスコンサルタントとしてトラバスの活動に参画していただいております。

本日は、「働きやすい職場認証制度」と絡めて、事業者さんが「働きやすい」職場環境を整備するための保険にスポットを当ててお話を聞かせて頂けますでしょうか。

かしこまりました。

まずはじめに、認証項目の「D 安心・安定」に関連し、事業者さん側で加入しておいた方がよい保険について、教えていただけますか?

認証項目の中でも触れられている保険(補償制度)が、主に2つあります。

1点目は「労働災害・通勤災害の補償制度」、2点目は「病気や怪我で働けない場合の所得補償制度」です。

労働災害や通勤災害は、言葉のとおりイメージできるかと思いますが、 それに関連し、事業者が従業員に対して負う義務で、給料を支払う義務のほかに「安全配慮義務」というのがあるのをご存知ですか?

使用者が労働者に対して負っている、労働者に安全に働いてもらう環境を提供する義務、のことですよね?

その通りです。事業者は、労働(雇用)契約により従業員に対して安全配慮義務を負っていますが、安全配慮義務に違反すると、労働(雇用)契約、民事上の債務不履行責任(民法第415条)を追及されます。

事業者は故意・過失が無いことについての立証責任を負うことになりますが、「安全配慮義務違反が無かったこと=義務を完璧に果たしていること」を立証することは極めて困難です。

こうした安全配慮義務違反による債務不履行責任を「使用者賠償責任」と呼び、この補償を保険でカバーする必要があります。

なるほど。その安全配慮義務違反に伴う賠償としては、どのくらいの金額の賠償金が課されるのでしょうか。

ここ30年間の傾向では、高額判決のトップ10がすべて1億超え、過労死・過労自殺による高額判決が多いですね。

1億超え・・・。ちなみに、今年2020年4月1日の改正民法施行は、賠償金にも影響があるのでしょうか。

あります。少し小難しい話になるのですが、民法改正によって、「法定利率」が変わり、それに伴いライプニッツ係数と呼ばれる賠償金を換算する係数も変更されますので、結果としては、損害賠償金が増額となる場合があります。

その場合、現在業務災害保険に加入していても、保険金額の見直しも検討しなければなりませんね。

おっしゃる通りです。先ほど賠償額が1億とお伝えしましたが、その金額を超えるケースが増えてくることになりますので、この「働きやすい職場認証制度」の取組に際し、補償の内容や金額含め、見直しすることをおすすめします。

補足ですが、認証項目の「C 心身の健康」で、パワハラ・セクハラといったハラスメント対策についても触れられていますが、これらに対する賠償についても保険で補償することができます。

先ほど「使用者賠償責任」について触れましたが、ハラスメントに対する事業者の責任を「雇用慣行賠償責任」と呼びます。

「雇用慣行賠償責任」に対する保険もあるのでしょうか。

あります。通例では、従業員のために、従業員のケガ・入通院を補償するのと併せて、事業を守るために、「使用者賠償責任」・「雇用慣行賠償責任」についてもしっかり補償することで、結果として従業員だけでなく、会社を守ることにも繋がります。

日々目まぐるしく環境変化がある中で、保険の補償内容も変わっており、自社で起こりうるリスクをきちんと整理し、それらに対してきちんと保険加入がされているかを、定期的に見直すことが必要なんだと、杉本さんのお話をお聞きして改めて感じました。

そうですね。特に長年補償内容を変えずに保険加入している場合は、この認証制度が見直す絶好のチャンスだと思います。

「所得補償制度」についてはいかがでしょうか。

団体向けの所得補償制度は、企業の人材採用力の向上のみならず、従業員のモチベーションを維持・向上させるものとして注目されています。

福利厚生にも繋がるということですね。所得補償制度導入の具体的なメリットについて、もう少し詳しく教えていただけますか?

具体的には4点お伝えしますね。

1点目は、団塊世代の退職や社会の高齢化により採用難・人手不足が問題視されていますが、本制度を取り入れている企業はまだ少なく、確定拠出年金(401k)と並んで、競合の企業と差別化を図ることができ、採用活動時にメリットとしてアピールできます。

2点目は、社員の定着率向上です。先ほどの採用力アップと関連しますが、病気やケガでの現場の長期離脱でもそのまま在籍していてもよいという安心感=「働き続けたい会社」として社員の離職防止にも繋がります。

3点目は、メンタル休職者対策です。精神疾患による就業障害休職者に対しての補償もありますので、経済的な事情による無理な復職を防ぎます。また、保険金としての補償の他に無償でのカウンセリングなどもサービスとして備えられていることがしばしばです。

最後に4点目は、コスト面です。従業員のための長期にわたる補償となりますが、意外にも安価な保険料となります。

従業員だけでなく、企業の経営者にも有益な補償制度でもありますね。ありがとうございました。

今日は、「働きやすい職場認証制度」と絡めて、保険にスポットを当ててお話いただきましたが、まさに今日お伺いした2つの保険だけでも、各社の「働きやすさ」に繋がる取組になりますね。

また、保険はリスクを補うものでもありますが、会社の明るい未来創造にも繋げる一つの手段であることも、学びの一つでした。本当はもっとお話お聞きしたいくらいです・・・!

本日は色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうござました。

こちらこそ、ありがとうございました。

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