拘束時間のルールについては「トラック事業者の労働時間管理その1」で触れましたが、今回は拘束時間と休息時間の計算方法とトラック事業者の休日のルールについて触れてみたいと思います。
拘束時間の算定ルール
1か月の拘束時間は293時間までです。これは、1か月間で働いた勤務日の始業・終業時刻の合計をそのままチェックしてもらい、293時間を超えていなければOKです。
次に1日の拘束時間ですが、始業時刻から起算した24時間以内の拘束時間でチェックします。
例えば、
- 月曜日 7:00~20:00
- 火曜日 5:00~19:00
の時間働いたとしましょう。
この場合、月曜日の拘束時間は何時間になるでしょう?
7:00~20:00の13時間とカウントしがちですが、1日の拘束時間は始業時刻から起算した24時間以内の拘束時間でチェックしますので、火曜日の5:00~7:00までの2時間分も含めて月曜日の拘束時間をカウントします。つまりこの場合の拘束時間は15時間となります。
また1週間に拘束時間が15時間を超える回数は2回までとされております。
ということは、休息時間が9時間未満となる回数も1週間に2回限度ということになりますね。
したがって、片道が15時間を超える長距離の往復運転をする場合は、1週間に1回しかできないので、一定の工夫が必要となります。
このルールを把握しておかないと、知らないうちに改善告示基準の超えてしまうことになりかねませんので、注意が必要です。
休日のルール
次に休日についてのルールです。
労働基準法では、週に1日または4週に4日の休日を確保しなければならないとされています。
この休日を確保できなければ、いわゆる休日労働ということになり、3割5分増しの割増賃金を支払う必要があります。
トラックドライバーの休日のルール
トラックドライバーの場合には、この原則のルールにプラスして、休日として確保する時間についてのルールがあります。
トラックドライバーの休日は、「休息時間+24時間の連続した時間」となります。つまり休息時間は最低でも8時間を確保しなければならないので、休息時間8時間+24時間の32時間以上の連続した時間を確保する必要があります。
おわりに
一部特例はありますが、トラックドライバーの労働時間管理は一般の企業と異なり、労働時間、拘束時間、休息時間、休日時間を管理する必要があり、とても複雑です。ひとつひとつのルールを確実に抑えて、違反のないようしっかりと管理をおこなっていきましょう。
自社の労働時間管理について、少しでもご不安な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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トラバス理事。都内大手社会保険労務士法人で企業の労務相談、就業規則・各種規定の作成、指導、実務書の監修、労働保険・社会保険手続き、給与計算業務に携わる。その後、独立開業。
現在は、特に中小企業のための「リスクヘッジ型就業規則」コンサルティングと「社内のルール作り」「長時間労働対策」に力を入れている。また「企業はヒト」、「人材の定着には組織風土の活性化は欠かせない」という考えからユニークな企業内研修も実施。併せて民間企業、役所、商工会議所、法人会において労務管理セミナーの講師も務めている。