トラバス所属の行政書士、阪本です。
さて、2018年7月より一般貨物自動車運送事業の行政処分が強化されましたが、法令遵守状況に問題があった運送会社の行政処分の内容で「輸送施設の使用停止 ○○日車」という記載を、関東運輸報や、物流系の新聞やメディアで目にする方も多いのではないでしょうか。
「輸送施設の使用停止」とは一般的に貨物自動車の使用停止であり、行政処分を受けた営業所に配置している車両のナンバープレートを外して、車検証とあわせて運輸支局に預けるペナルティを受けます。1台の車両を一日運行停止したら、『1日車』という単位になります。
そして、車両の停止期間は、処分日車数及び違反営業所等に所属する事業用自動車数に応じて下記のように定められています。
処分日車数
「X] |
営業所に所属する車両数 | |||
~10両 | 11両~20両 | 21両~30両 | 31両~ | |
~ 10 日車 | 1両 | 1両 | 1両 | 1両 |
11~ 30 日車 | 1両 | 2両 | 2両 | 2両 |
31~60 日車 | 1両 | 2両 | 3両 | 3両 |
61~80 日車 | 2両 | 3両 | 4両 | 5両 |
81日車~ | Y+(X-80)/10 ※1 |
この表は行政処分の基準が記載されている公示に記載されているものなのですが、解読する際に難しいのは※1の部分でしょう。
Yの部分に入れる数値は、以下のルールになります。
営業所に所属車両数 | Yの数値 |
~30両 | 61~80日車の各欄に記載された処分車両数 |
31両~ | 8両 |
そして、使用停止車両数の割合は、全車両の最大5割になっております。
例えば、輸送施設の使用停止150日車の行政処分を受けた営業所の場合、運行ができない車両数とその期間は次のようになります。
5両の場合:2+(150-80)/10=9両
しかし、使用停止車両数は最大5割のため2両が車両停止。
従って、2両が75日間の車両停止。
10両の場合:2+(150-80)/10=9両
しかし、使用停止車両数は最大5割のため5両が車両停止
従って、5両が30日間の車両停止。
100両の場合:8+(150-80)/10=15両
従って、15両が10日間の車両停止。
トレーラーを運行している運送会社の場合は、車両停止はトラクターとシャーシのどちらになるのでしょうか。
処分車両数の算定において、トラクターとシャーシは、セットで1両とカウントするとした上で、トラクタを基準として処分車両数に参入します。しかし、トラクタの車両数がシャーシの数より多い場合、シャーシのカウント方法は、使用停止となるトラクタの数に関係なく、シャーシの使用停止車両数は最大5割になっております。
例えば、トラクタ10両、シャーシ6両を保有する運送会社のトラクタとシャーシの車両停止数は次のようになります。
停止車両数 | トラクタの停止車両数 | シャーシの停止車両数 |
1両 | 1両 | 1両 |
2両 | 2両 | 2両 |
3両 | 3両 | 3両 |
4両 | 4両 | 3両 |
5両 | 5両 | 3両 |
こちらの運送会社はシャーシは6両を保有しているため、シャーシの車両停止数は3両までとなります。
2018年7月から実施された運送会社への行政処分許可で最もインパクトはあるのは、やはり、車両停止が最大5割までに引き上げられたことでしょう。事例で紹介いたしました150日車の行政処分を受けた場合のシュミレーションでは、営業所に配置している車両が10台の場合はその半分の5台が約1か月運行できないという結果になりました。この規模の運送会社が、車両の半分を運休せざるえなくなると、行政処分が事業存続の危機になってしまいます。
そうならないためにも、法令遵守で運行を行う必要があるのではないでしょうか。
トラバスでは、運送会社の法令遵守体制づくりの支援を行っております。お困りごとがございましたら一度、ご相談ください。
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トラバス代表理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光分野に関する専門家として、数多くのトラック運送会社、貸切バス事業者、倉庫業者の許認可法務に関与してきた経験を持つ。
現在も行政書士法人シグマの代表行政書士として、行政書士法人を経営しながら、運輸業と観光法務の実務家として活動中。
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)賛助会員(認定アドバイザー)