福利厚生費のポイントと具体例:その3

税理士の森田です。
前々回・前回に引き続き、福利厚生費の具体例をご紹介します。

福利厚生費のポイントと具体例:その1

福利厚生費のポイントと具体例:その2

具体例

社宅

社宅に関する家賃の福利厚生については、従業員と役員とでは取り扱いが違うので注意が必要になります。

従業員の場合の取り扱い

従業員に会社の社宅を提供した場合の賃料が、賃貸料相当額の50%以上の金額を家賃として従業員から受け取っている場合には、会社負担分については福利厚生費として認められます。

ただし、従業員から受け取る家賃が賃貸料相当額の50%未満である場合には、受け取る家賃と賃貸料相当額との差額はその従業員に対する給与となります。

そのため、社宅を従業員に無償で貸した場合には賃貸料相当額全額がその従業員に対する給与となります。

賃貸料相当額とは、次の1~3の合計額をいいます。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)× 0.22%

役員の場合の取り扱い

役員に会社の社宅を提供した場合の賃料が、賃貸料相当額を家賃として役員から受け取っている場合には、会社負担分については福利厚生費として認められます。(従業員とは違い50%以上ではありません。)

ただし、役員から受け取る家賃が賃貸料相当額未満である場合には、受け取る家賃と賃貸料相当額との差額はその役員に対する給与となります。

そのため、社宅を役員に無償で貸した場合には賃貸料相当額全額がその役員に対する給与となります。

賃貸料相当額は、役員の場合には社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅に分けられ、小規模な住宅の場合の賃貸料相当額は従業員の場合の賃貸料相当額と同じ計算により算出された金額となります。

それ以外の住宅の場合の賃貸料相当額は、以下の方法により計算した金額となります。

自社所有の社宅の場合

次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じます。

ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

他から借り受けた住宅等を貸与する場合

会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記「自社所有の社宅の場合」で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

その他の従業員・役員に共通する注意点として、現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。

社宅については、従業員と役員では福利厚生と認められる条件が異なります。

特に、役員に対する社宅については条件が厳しくなっているので条件に合っているか確認が必要になります。

続きは福利厚生費のポイントと具体例:その4でご紹介します。

blog_banner_mail blog_banner