本日も「トラバス」ブログにお越し頂きましてありがとうございます。
トラバスです。
さて、運輸事業者の行政処分で車両の使用停止の処分がありますが、よく耳にするのは「ナンバープレートを持っていかれる」というお話だと思います。
この際に、
- ナンバープレートを持っていかれる車両はどうやって決められるのか
- 停止車両のナンバープレートは、どうやって持っていかれるのか
- 停止期間が終了したときは、どのようにナンバープレートを取り付けるのか
といった疑問があると思いますが、それらの取扱は次のようになっています。
例えば、営業所に30両を持っている事業者が、「アルコール検知器備え義務違反」で車両停止60日車の行政処分を受けた場合、車両2両が対象になり60日車=2両×30日車となります。
車両1台の停止期間は最大6カ月までと決まっており、6カ月を超える停止期間の日数は、別の車両が停止され日数をカウントします。
(この車両停止期間の処分日車数及び事業用自動車数の詳しいことは、当ブログの「処分日車数制度」をご覧ください。)
Contents
ナンバープレートを持っていかれる車両はどうやって決められるのか
そして、この対象車両「2両」については貨物運送事業者・貸切バス事業者ともに、どのように決められるか局長通達によって、以下のように定められています。
貨物自動車運送事業の場合
貨物自動車運送事業については、平成21年9月29日付け(平成22年12月15日一部改正、平成25年9月17日一部改正)の局長通達「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」において示されています。
自動車等の使用停止処分の対象となる事業用自動車の決定は、以下の①、②、③に基づき決定し、違反事業者に対して停止対象事業用自動車の指定を行うものとする。
なお、停止対象事業用自動車の指定は、①、②、③の順に該当する車両を指定するものとする。
- 違反事業者の違反営業所等の違反車両
- 違反事業者の違反営業所等の違反車両と初度登録年月日及び最大積載量が同等の車両<
- 違反事業者の違反営業所等の配置車両のうち、行政処分の実効性が確保できるものとして、地方運輸局に置く貨物自動車運送事業関係行政処分審査委員会で決定した車両
一般貸切旅客自動車運送事業の場合
一般貸切旅客自動車運送事業については、平成25年9月17日付け(平成28年6月30日一部改正)の局長通達「一般乗合旅客自動車運送事業者及び一般貸切旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」において示されています。
自動車等の使用停止処分関係の「処分車両数及び処分期間の配分」については、処分権者が、あらかじめ、処分等の実効性を確保するために必要な最低停止車両数、停止対象となる車両等についての基準を定め、これを公表するものとする。
なお、当該基準には、停止対象の車両の決定基準として以下の①から④を規定し、処分権者が停止対象の車両指定及び停止時期指定を速やかに行うものとする。
また、停止対象の車両指定は、①、②、③、④の順に該当する車両を指定するものとする。
- 違反事業者の違反営業所等の違反車両
- 違反事業者の違反営業所等の違反車両と初度登録年月が同一の車両(初度登録年月が同一の車両が複数ある場合は、乗車定員の多い順とする。)
- 違反事業者の違反営業所等の違反車両と乗車定員が同一の車両(乗車定員が同一の車両が複数ある場合は、初度登録年月が新しい順とする。)
- 違反事業者の違反営業所等の配置車両のうち、初度登録年月が新しい車両(初度登録年月が同一の車両が複数ある場合は、乗車定員の多い順とする。)
以上のように、各自動車運送事業者ともに行政処分における停止対象車両が定められているので、万が一、行政処分を受けた場合は、監査担当者の裁量で決められるのでご留意ください。
車両が決まったあとの流れはどうなっているか
では、万が一、車両停止処分を受けた場合には、どのように車両停止措置を行い、車両停止期間が終了したら、どのようにナンバープレートを取り付けるのでしょうか。
これは、神奈川運輸局管内では次のような流れで行われます。
- 行政処分の当該車両が決定される。
- 車両停止開始日に事業者が前後のナンバープレートを外し(後ろの封印も事業者が外します)、車検証と一緒に運輸支局等に持っていく。
- 車両停止が開始される。
- 無事に車両停止期間が終了。
- 事業者が停止車両の仮ナンバープレートを取得し、停止車両に取り付ける。
- 仮ナンバープレートを付けた車両を事業者が運輸支局に持ち込む。
- 運輸支局の担当者立ち合いの下、ナンバープレートを取り付ける手続きを行い(運輸支局で新しい封印をもらう)、その場でナンバープレートを取り付ける。
行政処分の車両停止の手続きの流れは、以上のようになります。
ただし、上記の流れは停止車両が少数の場合であって、停止車両が多数の場合は事業所にて車両停止手続きをする場合もあります。
停止期間に動いていないかの確認は、
- オドメーター(総走行距離メーター)が動いていないか。
- 車両のドアの封印がされる場合もあります。
といった方法で行われます。
具体的な台数や停止措置の方法は監査担当者の裁量で決められます。
このように行政処分を受けますと、いろいろと面倒な作業や手続きを行わなければなりませんし、停止車両のドライバーさんを休ませずにお給料も支払わなければなりません。
おわりに
行政処分は事業者側の責任が大きいので、絶対に行政処分を受けないよう、法令順守を心がけて頂けたらと思います。
なお、トラバスでは「法令順守状況アドバイザリーサービス」を提供しております。行政処分を受けてしまうと、各事業者様の信用、信頼が損なわれてしまいます。監査等に不安な点などがございましたら、行政処分を受けてしまう前に私どもにご相談ください。




最新記事 by 一般社団法人 運輸安全総研トラバス (全て見る)
- 「いい会社」診断のススメ - 2017年9月4日
- 大型トラックがスピードリミッター改造で整備命令 - 2017年4月13日
- 車両には車検証の原本を携行させましょう。 - 2017年3月31日