私が運行管理者試験(貨物)に合格してからすでに2年以上が経過します。過去問の重要性については以前もこちらのブログでも触れさせて頂きましたが、私が受験したときからの問題の傾向の変化の有無についても考えてみたいと思い、今回は直近である令和元年8月実施の問題から、傾向と対策を探ってみたいと思います。
受験を考えていらっしゃる方は、ぜひご参考になさってください。
正誤問題は数字に気をつけましょう
やはり、相変わらず数字の暗記を求めてきている傾向に変わりはないようです。
例えば、車両に設置した後写鏡が「地上1.8メートル」以下の位置に取り付けてある場合には、歩行者との接触を緩衝する構造が必要であるとの保安基準がありますが、これについて、実際の設問では「地上2.0メートル」以下として誤りの選択肢にしてあるものが出題されています。
また、自動車検査証の記載事項の変更の届出について「15日以内」であるところを「30日以内」として誤りの選択肢にしているものなども出題されており、これにあたります。
こうした設問は、文脈から正誤を判断できるようなものではなく、数字を覚えていないと、少なくとも自信をもって回答することができません。こうした設問は、やはり今後も出題され続けると思われますので、ご注意ください。
頻出部分をおさえることが合格の近道
また、項目で見ていきますと、「貨物自動車運送事業法」の分野では、貨物自動車運送事業の定義はやはり例年のごとく出題されていますし、運行管理者の業務、輸送の安全、点呼、事故の報告規則、過労運転の防止等はお決まりのものとして出ています。
「道路運送車両法」の分野では、自動車の登録、検査、点検、保安基準からの出題となっていますが、これも例年の頻出分野です。
「道路交通法」の分野では、比較的出題内容が年度によりばらける傾向にありますが、定義規定、標識、駐停車、徐行、一時停止などは頻出で、今回も出題されています。
「労働基準法」の分野では、労働時間・休息期間、休日についての出題が多く、また、改善告示からの出題はかなり細かいところまで聞かれるのも例年の傾向どおりです。
最後に、「実務上の知識及び能力」の分野では、比較的出題内容がばらけるものの、点呼や健康管理、走行時に生じる現象についての問題など事故防止を念頭に出題される点には違いがありません。
これらの頻出分野は、たまたま出題されない回があったとしても、すぐ次の回に出ていたりもしますので、絶対に油断をしてはいけません。逆に言えば、初めて勉強する方でも、こうした頻出部分から押さえていくことで、ぐっと合格に近づくことになります。
交通場面から危険因子を予知(イラスト問題)
最後に、実務上の知識問題の中で目を引いた設問をご紹介したいと思います。
今までの傾向と本質的に異なるものとは言えませんが、今回は、イラストを使って具体的な交通場面を設定し、予知すべき危険要因等を答えさせるという設問が出題されました。
この際、イラストの内容だけでなく、前提となる天候や車両の種類、ドライバーの年齢など、細かい状況設定がなされています。
このような前提条件を与えられて、選択肢の中から危険要因やその対策としての指導事項を選択するものです。
よく考えれば解ける問題なのですが、このようにいろいろと手を変え品を変えてきますので、現場で「難しそうだ」と圧倒されないように心の準備をしておく必要があります。
それでは皆様、ご健闘をお祈りいたします。
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平成25年1月に弁護士登録し、以後、横浜市内の法律事務所で約7年間勤務。令和元年の末に川崎武蔵小杉法律事務所を開業し、同所代表となる。
交通事故関連事件を多く手掛けてきたことから、運輸業のお客様と関わる機会に恵まれ、運輸業界の実態については他の弁護士以上に把握していると自負している。また、運輸業の方からは、交通事故以外にも労務相談、契約に関するご相談、さらには、新規事業に関するリーガルチェックにも力を入れている。
その他、セミナー講師や原稿執筆の経験多数。