税理士の森田です。
今回は、従業員の給料を増やした場合に税額控除が受けられる所得拡大促進税制が改正されましたので改正点などを解説します。
中小企業者・個人事業者にとっては条件が緩和され、税額控除額の割合も大きくなったので是非活用して下さい。
所得拡大促進税制の改正は、以下の注意点が有りますのでご留意下さい。
- 青色申告の法人又は個人事業主が対象になります。
- 設立1期目は適用出来ません。
- 法人は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までに開始する各事業年度で適用されます。個人は、平成31年から平成33年までの各年度で適用されます。
- 給与総額から役員の給与・使用人兼務役員の給与・役員の親族等の給与は除かれます。
このブログをお読みの方は中小企業者等の経営者が多いと思いますので、まずは中小企業者等について書きます。
※平成30年4月27日現在の情報で、本ページを作成しております。
1.中小企業者等の場合
- 青色申告の法人又は個人事業主が対象になります。
- 設立1期目は適用出来ません。
- 法人は、平成30年4月1日から平成33年3月31日までに開始する各事業年度で適用されます。個人は、平成31年から平成33年までの各年度で適用されます。
- 給与総額から役員の給与・使用人兼務役員の給与・役員の親族等の給与は除かれます。
改正前は以下の1~3すべてを満たす必要が有りました。
- 雇用者給与等支給額が基準事業年度(平成24年度)から増加している
(給与総額:当事業年度≧基準事業年度×103%) - 雇用者給与等支給額が前事業年度以上になっている
(給与総額:当事業年度≧前事業年度) - 平均給与等支給額が前事業年度から増加している
(平均給与:当事業年度>前事業年度)
改正後は次の条件だけになり、改正前の1と2の条件は無くなりました。
平均給与等支給額が前事業年度から1.5%以上増加している (平均給与:当事業年度≧前事業年度×101.5%)
改正後の税額控除は以下の通りになりました。
ただし、法人税額(所得税額)×20%が税額控除額の限度となります。
(当事業年度の給与総額-前事業年度の給与総額)×15%
が控除され、更に一定の要件に該当した場合は
(当事業年度の給与総額-前事業年度の給与総額)×25%
が控除されます。
※ 一定の要件とは以下の1と2の両方を満たしている場合を言います。
-
- 平均給与等支給額が前事業年度から2.5%以上増加している
- 次のいずれかを満たすこと
- 教育訓練費が対前年度比10%以上増加している
- 経営力向上計画の認定を受け、経営力向上がなされている
2.大法人の場合
改正前は以下の1~3すべてを満たす必要が有りました。
- 雇用者給与等支給額が基準事業年度(平成24年度)から増加している
(給与総額:当事業年度≧基準事業年度×105%) - 雇用者給与等支給額が前事業年度以上になっている
(給与総額:当事業年度≧前事業年度) - 平均給与等支給額が前事業年度から2%以上増加している
(平均給与:当事業年度≧前事業年度×102%)
改正後は、以下の1と2の両方を満たす必要が有ります。
- 平均給与等支給額が前事業年度から3%以上増加している
(平均給与:当事業年度≧前事業年度×103%) - 国内設備投資額が当期減価償却費の90%以上になっている
(設備投資額≧減価償却費の9割)
改正後の税額控除は以下の通りになりました。
ただし、法人税額×20%が税額控除額の限度となります。
(当事業年度の給与総額-前事業年度の給与総額)×15%
が控除され、更に一定の要件に該当した場合は
(当事業年度の給与総額-前事業年度の給与総額)×20%
が控除されます。
※一定の要件とは次の場合を言います。
教育訓練費≧比較教育訓練費×120% (教育訓練費が過去2期の年平均額から20%以上増加している)
所得拡大促進税制の改正についての解説は以上になります。
冒頭にも書きました通り、中小企業者・個人事業者にとっては今回の改正で条件が緩和され、税額控除額割合も大きくなったので是非活用して下さい。
※平成30年4月27日現在の情報で、本ページを作成しております。
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トラバス監事。東京都内の税理士事務所勤務を経て、独自の方法で中小企業の支援がしたいと思い独立開業。
運送会社の置かれた状況は値下げ競争など依然として大変厳しい状況にあるため、会社の財務状態を正しく管理し改善をすることにより会社を守ることが出来ると考えております。
また、毎年のように税制改正が行われ、かつ、複雑になっていますが、専門用語はできるだけ使わずに分かりやすく説明することをモットーとしております。