弁護士の橋本です。
今回は、「いい会社カード」という便利なツールを使った「いい会社診断」を、法令遵守体制〈コンプライアンス〉という側面から見てみたいと思います。
コンプライアンスとは
あえて申し上げるまでもありませんが、コンプライアンスとは企業統治の基本原理の一つであり、企業が、定められた法や規則に従うほか、考え方によっては企業倫理もその概念に含んだうえで、そうした規範に違反しないよう行動し、会社の社会的信頼を維持向上していくための体制のことです。
さて、ここで、「いい会社カード」を見てみますと、「ブレない経営の軸」、「当たり前のことの継続」、「働きやすい職場環境の整備」、「顧客志向」、など、コンプライアンスに関連する項目が多数あります。
「いい会社カード」はこうした分類で合計50枚が用意されており、それぞれのカードには会社への問いかけが書かれています。
「いい会社カード」で注目したい項目
いくつか注目したい項目を見ていきますと、たとえば、「ブレない経営の軸」という大項目があります。経営理念をしっかり持つことで、会社の存在意義を意識することができ、その結果、利益のみを重視するのではなく社会的要請に応えて顧客の信頼を得られるような体制につながっていくと思います。
そうした社会的要請に応えるためには、必然的にコンプライアンスが必要となります。
この、「ブレない経営の軸」という項目の中で、たとえば「身の丈主義」かどうか、「現場主義」かどうかなど、カードによって複数の問いかけがなされています。
こうした問いかけに対してひとつひとつ立ち止まって考えてみることで、ご自分の会社を客観的にチェックできるという仕組みです。
会社の規模や能力を把握しているか、会社が現場に潜むリスクを認識しているかどうか、というのは法令遵守にとっても重要なことだと思われます。
こうした点が欠如すると、会社を維持していく上で無理が生じて、いきおい法令遵守が二の次になっていきかねないからです。
このほか、紙幅の関係で、大項目のみをご紹介しますが、先ほど挙げた「ブレない経営の軸」「当たり前のことの継続」、「働きやすい職場環境の整備」、「顧客志向」などのほか、「独自の事業展開」、「社員の成長重視」、「いい管理職」などの項目があります。
このように、「いい会社診断」で使用するカードには、さまざまな問いかけの切り口があり、会社として正しく業務を遂行していくことにつながるチェックポイントだと思います。
従業員もやってみることが重要
また、「いい会社カード」では、これらの項目に沿って、経営者も従業員もチェック作業をしてみるという使い方が推奨されていますが、これがまた極めて重要なことです。
企業の様々な法令違反は、経営者と現場で業務を行う従業員との認識のずれから生じていることも多いからです。
今回、コンプライアンスの構築、維持という観点からすべてのカードを眺めてみましたが、どのカードも、まったく関連がない項目はないと思いました。
利益を伸ばすという会社の目的が大切であるのはもちろんのことであり、そうした側面にも「いい会社診断」は効果があると考えますが、法令遵守体制の整備にも、「いい会社」であることは必須であると思います。
こうした点が少しでも気になっている経営者様、管理職の方がいらっしゃいましたら、ぜひ「いい会社診断」を受けて頂きたいと思います。多くの会社様のお申込みをお待ちしております。
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平成25年1月に弁護士登録し、以後、横浜市内の法律事務所で約7年間勤務。令和元年の末に川崎武蔵小杉法律事務所を開業し、同所代表となる。
交通事故関連事件を多く手掛けてきたことから、運輸業のお客様と関わる機会に恵まれ、運輸業界の実態については他の弁護士以上に把握していると自負している。また、運輸業の方からは、交通事故以外にも労務相談、契約に関するご相談、さらには、新規事業に関するリーガルチェックにも力を入れている。
その他、セミナー講師や原稿執筆の経験多数。