運送引受書に関するルールの一部改正について

Document

本日も『トラバス』のブログにお越し頂きましてありがとうございます。

行政書士の阪本です。

さて、平成28年11月1日より、一般貸切旅客自動車運送事業者さんが作成義務のある運送引受書の記載事項や保存方法に関するルールに一部改正が実施されました。この変更は、平成28年11月1日以降に交付する運送引受書から適用されております。

本年1月に発生した軽井沢スキーバス事故を踏まえ、国土交通省では、再発防止策について徹底的に検討し、本年6月に「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」をとりまとめました。

これを受けて今回の一部改正となりました。

この対策の中では、旅行会社や利用者等との関係強化策の一環として、運送引受書の記載事項の追加や、旅行会社等に手数料を支払った場合には、その額を記載した書類を、保存することを義務付けることになりました。

運送引受書への記載事項の変更

今回の一部改正では、運送引受書へ、運賃の「上限額」及び「下限額」の記載が求められることになりました。その結果、運送引受書の記載事項は次の21項目になります(追加項目は太字の箇所です)。

  1. 運送申込者の氏名又は名称及び住所並びに電話番号その他の連絡先
  2. 運送を引受ける貸切バス事業者と運送契約を締結する者の氏名又は名称及び住所並びに電話番号その他の連絡先
  3. 運送申込みに係る旅客の団体の名称
  4. 運送を引受ける貸切バス事業者の名称、住所及び電話番号その他の連絡先(緊急時における連絡先を含む。)並びに貸切バス事業の許可の年月日及び許可番号並びに営業区域
  5. 運送申込みに係る乗車人員
  6. 乗車定員別又は車種別の事業用自動車の数
  7. 事業用自動車の配車の地点及び日時
  8. 運行の経路並びに主な経由地における発車及び到着の日時
  9. 事業用自動車の発車及び到着の日時、宿泊又は待機を要する場合はその旨、その他事業用自動車の運行に関する旅行の日程
  10. 旅客が乗車する区間
  11. 事業用自動車について締結されている損害賠償責任保険契約又は損害賠償責任共済契約の概要
  12. 乗務員の休憩地点及び休憩時間(休憩がある場合に限る。)
  13. 交替運転者を配置しない場合には、その理由
  14. 車掌の乗務の有無
  15. 乗務員の運転又は業務の交替の地点(運転又は業務の交代がある場合に限る。)
  16. 運行の開始及び終了の地点及び日時
  17. 当該運送に係る実車走行距離及びその要する時間
  18. 当該運送に係る総走行距離及びその要する時間
  19. 運賃及び料金の額並びに支払方法
  20. 運送を引受ける貸切バス事業者が届け出た運賃及び料金を基に算定した当該運送に係る運賃及び料金の上限額及び下限額
  21. 特約条項があるときは、その内容

運送引受書の保存方法の変更

今回の一部改正では、運送引受書の保存期間そのものについては変更は生じませんが、保存する際の添付書類が増えることになりました。

貸切バス事業者さんの中には、運送の申込者(例えば旅行会社や利用者)に対して、運送の引受けに際して手数料又はこれに類するものを支払うことが商慣習上あるかと思います。

手数料やこれに類するものを運送の申込者に対して支払った場合、その額を記載した書類を、運送引受書の写しと一緒に、その運送が終了の日から1年間保存することが求められることになります。

運送引受書の新様式

運賃及び料金の上限額及び下限額が記載されている新しい運送引受書の参考様式は、関東運輸局のホームページ上で公開されております。現在使用されている様式が、最新の法令に適合しているかのご確認をお願い致します。

new_hikiuke-680x421

出典:関東運輸局のホームページより

貸切バス事業者さんは、昨今の規制強化を受けて、安全・安心な貸切バスの運行を求められております。とはいえ、現在の運営体制のままで、法定帳票類を正しく記載し、保管するには限界がきているという貸切バス事業さんの声を耳にすることがあります。

トラバスでは、法令順守体制の構築の一環で、運行計画支援システムの導入を推奨しております。グーグルマップと連動して、運送引受書や運行指示書の作成までできるシステムも発売されておりますので、そのようなシステムを活用することで、運行計画作成業務を省力化しながら、法令順守体制を構築をすることができます。

安全・安心な貸切バスの運行には、ITの活用が有益だと考えております。

blog_banner_mail blog_banner