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行政書士の阪本です。
貸切バス事業者に対する行政処分基準の改正
さて、平成28年7月1日より、国土交通省は、貸切バス事業者に対する行政処分基準を改正いたしました。
今回の改正では、重大事故を引き起こした貸切バス事業者に対して、国土交通省は、事業許可の取り消し処分を行うことができるようになりました。
この改正は、軽井沢スキーバス事故を受け、貸切バス事業の抜本的な安全対策を検討してきた結果、速やかに講ずべき事項として実施されることになったものです。
また、重大事故により許可取消処分の規定が新設されたことに伴い、運行管理者資格者証返納命令の対象範囲も拡大されました。
具体的な改正内容
1.事業許可取消処分の対象範囲の拡大
貸切バス事業者に勤務する運転者が、バス運行中に、事故の過失が最も重い第一当事者と推定される重大事故等を引き起こしたことにより甚大な人身被害をもたらした場合、その貸切バス事業者に悪質な法令違反があると認められる場合は、個別の情状を十分、総合的に勘案し、事業許可の取消処分を行うことができるとするものです。
2.運行管理者資格者証返納命令の対象範囲の拡大
貸切バス事業者が、第一当事者と推定される重大事故を発生させ、許可の取消処分を受けることとなる場合であって、運行管理に悪質な法令違反があると認められる場合には、運転者が所属する営業所において選任された全ての運行管理者(事故発生後に解任されたものを含む)に対して、運行管理者資格者証の返納を命ずるとするものです。
ただし、運行管理者が法令違反に全く関与していない場合、重大事故を発生させた運転者の運行管理業務を全く実施していないことを、その運行管理者や貸切バス事業者が証明した場合は除かれます。
運行管理者資格者証の返納が命じられた場合は、返納命令日から2年を経過しないと、運行管理者資格者証の交付を受けることができません。
おわりに
貸切バス事業の許可取消処分や運行管理者資格者証返納命令は、悪質な法令違反があると認められたときのペナルティーです。
昔は大丈夫だったことが、今は事業許可の剥奪に繋がる場合もあります。
この機会に御社の法令遵守体制の確認を行ってみてはいかがでしょうか。もし、貸切バス事業の法令遵守体制作りでお困りでしたら、一度、ご相談ください。
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トラバス代表理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光分野に関する専門家として、数多くのトラック運送会社、貸切バス事業者、倉庫業者の許認可法務に関与してきた経験を持つ。
現在も行政書士法人シグマの代表行政書士として、行政書士法人を経営しながら、運輸業と観光法務の実務家として活動中。
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)賛助会員(認定アドバイザー)