働きやすい職場認証制度の申請サポートをしてみてわかった注意すべきポイント

2020年度の自動車運送事業者の「働きやすい職場認証制度」の申請サポートをさせて頂きました。

今回は、申請サポートをしてみてわかった注意すべきポイントについてお伝えしたいと思います。

2021年度申請予定の事業者様に少しでも参考になれば幸いです。

提出書類について

提出書類は、

  • 就業規則
  • 36協定
  • 労働条件通知書
  • 安全衛生委員会の構成員一覧
  • 議事録
  • 健康診断結果報告書

となります。

届出が必要な書類については、役所の受理印が押印されているコピーが必要となります。

このなかで、届出が義務づけられている書類は、

  • 就業規則(従業員10人以上)
  • 36協定
  • 健康診断結果報告書(従業員50人以上)

です。

36協定や健康診断結果報告書は毎年届出るものですが、届出が漏れてしまっているケースもありますので注意が必要です。

原則として事業所単位での届出となりますので、申請前に各事業所で確認しておきましょう。

認証項目について

認証項目は、法令順守等、労働時間、心身の健康、安心安定、多様な人材の確保・育成、自主性・先進性等の6分野に分類されます。

必須項目の多くは各種法令の遵守です。

したがって認証を受けるためには法令を遵守していることは当然ですが、法令を遵守しているつもりが、知らない間に違反となっているケースもあります。

知らない間に違反となるケースの多くが、最低賃金と割増賃金です。

この2つとも認証項目の必須項目に該当しますので、認証のためには確実にクリアしておかなければなりません。

私がサポートした際に、特に注意した点をお伝えします。

1.最低賃金で確認しておくこと

このような企業は特にご注意ください。

  • 無事故手当を支給している
  • 固定残業手当を支給している

無事故手当を支給している

運送事業者の賃金体系は、無事故手当を導入している企業も少なくありません。

例えば、事故を起こし一定期間無事故手当が支給されなかったときに、最低賃金割れをしてしまう賃金体系を見ることもあります。

無事故手当は、最低賃金を計算する上で含めてよい手当ではありますが、支給されないことも想定して賃金設計しておく必要があります。

また最低賃金額以上支給されているか確認する上で、最低賃金の対象となる賃金を理解しておく必要があります。

家族手当、通勤手当、皆勤手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超えて支払われる賃金は除外して計算することになります。

これらの手当を除外しても、最低賃金額以上支給されているか確認しておきましょう。

上記手当のほかに、割増賃金も除外されます。

したがって時間外労働手当(残業手当)、深夜労働手当、休日労働手当等の割増賃金も除外して計算しましょう。

固定残業手当を支給している

そして見落としがちなのが、固定残業手当です。

固定残業手当も、割増賃金を固定払いしている性質の手当になりますので除外して計算することになります。

2.割増賃金で確認しておくこと

このような企業は特にご注意ください。

  • 歩合手当を支給している
  • 変動する手当を支給している
  • 固定残業手当を支給している

歩合手当を支給している

歩合手当を導入している運送事業者も少なくありません。

残業単価を算出する際には歩合手当も含めて計算しなければならないのですが、歩合手当を含めずに残業代を計算しているケースも見受けられます。

この場合、きちんと残業代を支給しているつもりが、知らない間に未払残業代が発生していることになります。

正しい計算方法を理解しておきましょう。

歩合手当を含めた残業単価の算出方法は下記のとおりです。

(基本給+諸手当)÷月平均所定労働時間×1.25・・・A

歩合手当÷総労働時間×0.25・・・B

A+B=残業単価

変動する手当を支給している

無事故手当や皆勤手当のように毎月変動する手当を支給している場合も注意が必要です。

変動する手当は、残業単価の基礎に含めなくて良い手当と思われがちですが、これらの手当も含めて残業単価を計算することになります。

条件により手当の額が変動することになりますので、残業単価も変動することになります。

正しい残業単価で計算されているか確認しておきましょう。

ちなみに残業単価の基礎となる手当から除外できる手当は

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われる賃金
  • 一か月を超えて支払われる賃金

の7種類のみです。

最低賃金の除外できる手当とは異なりますのでご注意ください。

固定残業手当を支給している

固定残業手当に含まれる時間外労働時間分を超えて残業した場合は、別途残業代の支払が必要です。

固定残業代を支給しているから残業代を支給しなくて良いというわけではありません。

超えた時間の残業代の支給がされているかご確認ください。

3.50人未満の企業も安全衛生懇親会を開催すること。

そのほか必須項目で特に注意すべき点は、安全衛生委員会関連です。

従業員50人以上の企業の場合、安全衛生委員会の構成員一覧と議事録、健康診断結果報告書が提出書類としても求められます。

安全衛生委員会を実施するためには、安全管理者と衛生管理者の選任が必要となります。

安全管理者になるためには、厚生労働大臣が定める研修や講習を受け、指定の学歴または実務経験に関する条件を満たしておく必要があります。

また衛生管理者になるためには、衛生管理者試験に合格しなければなりません。

もし選任していないとなると、これから試験を受けて合格してから選任することになりますので申請に間に合わないケースもあります。

50人以上の企業は、安全管理者、衛生管理者が選任され、安全衛生委員会を実施していることが必須条件になりますので、はやめに確認しておきましょう。

従業員50人未満の企業でも、衛生推進者の選任と安全衛生に関する事項について意見を聴く機会を設けていることが求められます。

したがって、従業員規模が50人未満であっても、安全衛生懇談会などの開催が必須となりますので、確実に実施し議事録は残しておきましょう。

まとめ

認証項目はこのほかにも数多くありますが、今回は、申請サポートしてみてわかった注意すべきポイントについて確認してみました。

2021年度の申請を予定されている企業様で、サポートが必要であればトラバスにお気軽にお問合せください。

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