行政書士法人シグマの阪本です。
12月は繁忙期のため、車両のやりくりでご苦労されている運送事業者さんも多いのではないでしょうか。そのような運送事業者さんの中には、「荷主さんが増えて来たので、来年はトラックを増やそうか」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
トラック増車の手続き
増車したトラックに営業ナンバー(緑ナンバー)をつけるためには、配置する営業所を管轄する陸事(陸運事務所)で手続きを行います。
その際は、「事業用ナンバー取得の際は車庫証明は不要です。」でも紹介したとおり、警察署で発行された車庫証明書は不要です。ここが自家用ナンバー(白ナンバー)との大きな違いです。
しかし、車増車予定のトラックを駐車する車庫が確保されていることを明らかにするために、警察署が発行した車庫証明書に代わる書類が必要となります。この書類が、事業用自動車等連絡書と言います。連絡票と呼ばれることもあります。
増車の届出
事業用自動車等連絡書は、増車するトラックを配置する営業所を管轄する運輸支局において交付されます。この連絡書の交付を受けるためには、増車の届出もあわせて行う必要があります。
増車の届出は、事業計画変更届出書という書式を使用して行います。書式は、運輸局や運輸支局のHPでダウンロードすることができます。書類の記載方法は、ダウンロードした書式の3ページ目に〈作成にあたっての留意点〉が記載されておりますので、このページを参照しながらご記入頂ければ、必要書類は準備できるかと思います。
増車のできる範囲
増車は無制限にできるのではなく、法令で定められた許可要件の範囲内で行わなければなりません。
増車を行う際は、新規許可取得時に要求された資金要件はありませんが、「車庫」と「運行管理者」については、特に注意が必要です。
車庫に関する注意点は、2つあります。1つ目は車庫の広さ、2つ目は車庫前面道路の幅員です。
車庫の広さ
車庫の広さは、増車予定のトラックを含めた営業所に配置されているトラックすべてが収容できる広さがないと、増車はできません。積載トン数別の車庫の必要面積の概算は、以下の数値を参考にして頂ければと思います。
- 7.5トンを超える車両:38㎡
- 2.0トンロング超~7.5トンまでの車両:28㎡
- 2.0トンロングの車両:20㎡
- 2.0トンまでの車両:15㎡
上記の数値を使って必要な広さを計算した結果、車庫の面積に余裕がない場合は、車両を収容した際の車庫の平面図を増車届出の際に提出する必要があります。
また、現在配置している車両より車幅の広い車両を増車する際は、車庫前面道路の道路幅員が許可要件を満たしているかどうかも確認しましょう。
運行管理者
運行管理者に関しては、台数によって必要人数が異なってくる点に注意をしなければなりません。運行管理者の必要人数は、保有車両29両まで1名、以降30両ごとに1名追加しなければならないことになっています。保有車両というのは、営業所毎である点も注意が必要です。
例えば、ある営業所に28両のトラックが配置されている場合、2両のトラックを増車する場合は、増車後の配置車両は30両になります。30両の場合は、運行管理者は2名選任しなければならないため、運行管理者の選任届出もあわせて行わなければ、増車をすることができません。
増車手続きのチェックポイント
一般貨物自動車運送事業者さんが増車手続きを行う際は、車庫と広さと前面道路の道路幅員、そして運行管理者の配置基準を事前にチェックしてから増車手続きを進めると、スムーズに緑ナンバーを取得することができます。
自社で手続きするのが面倒だ、平日に運輸支局に行く時間がないといった運送事業者さんは、行政書士に依頼して増車手続きを行う方法もありますので、この方法もご検討ください。
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トラバス代表理事。行政書士開業後、個人事務所時代から一貫して、運輸と観光分野に関する専門家として、数多くのトラック運送会社、貸切バス事業者、倉庫業者の許認可法務に関与してきた経験を持つ。
現在も行政書士法人シグマの代表行政書士として、行政書士法人を経営しながら、運輸業と観光法務の実務家として活動中。
一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)賛助会員(認定アドバイザー)